こんにちは。id:ayakoya です。
この記事は、「好きなもの」をテーマとするはてなスタッフアドベントカレンダー16日目の記事です。昨日は id:mohritaroh の「出不精なんだけど出歩くのが好きという話」でした。お誕生日おめでとうございました。明日は id:stefafafan です。
さて、好きなものと言ってもいろいろな切り口があるなと思っており、何を書くかさんざん迷ったのですが、今回はテレビ番組「超新星フラッシュマン」、そして放送から30年後のことを書いてみます。1986年開始と、もうだいぶ前の作品なのでネタバレはある程度しても構わないだろうと想定していますが、もしどうしてもネタバレがお嫌いな方がいたら1スクロール分くらいまでで!
スーパー戦隊シリーズ第10作「超新星フラッシュマン」とは
「超新星フラッシュマン」は、1986年3月から1987年2月までの1年間放送されたスーパー戦隊シリーズ第10作です。ひとつ前は「電撃戦隊チェンジマン」、ひとつ後は「光戦隊マスクマン」でした。スーパー戦隊シリーズはなんと私と同い年であり(第1作という扱いになった「秘密戦隊ゴレンジャー」は1975年放送開始で2年間放映)、現在放送中の「動物戦隊ジュウオウジャー」はスーパー戦隊シリーズ40作品記念作です。
スーパー戦隊百科:超新星フラッシュマン
超新星フラッシュマン - Wikipedia
私の明確な記憶があるのは第3作の「バトルフィーバーJ」からで、その後「電子戦隊デンジマン」「太陽戦隊サンバルカン」「大戦隊ゴーグルファイブ」「科学戦隊ダイナマン」「超電子バイオマン」「電撃戦隊チェンジマン」と見続けました。そして第10作の「超新星フラッシュマン」は、中国残留日本人孤児をテーマに、「ある日、地球から5人の子供が宇宙の果てにさらわれた。そして20年後」というナレーションからオープニングがスタートします。その5人の子供(ジン、ダイ、ブン、サラ、ルー)は、自分たちを連れ去った「改造実験帝国メス」から地球を守るため、そして自分の肉親を捜すため、地球に帰還し、メスとの戦いに身を投じていきます。
ちょうど中国残留孤児の定期的な訪日がマスメディアで報じられていた頃で、当時、新聞の全面を使って掲載された写真や、家族のヒントになりそうな手掛かりや特徴などをよく見ていました。小学校高学年ながらもなんとなく国際情勢への興味が出てきていて、それとリンクした戦隊シリーズということで、やけに印象に残っています。また、毎週きちんと見るスーパー戦隊シリーズとしてはフラッシュマンが最後になりました。フラッシュマンの最終回が非常に印象的だったことで「やりきった」という気持ちになったのと、中学生になって放送時間帯と生活時間がうまく合わなくなった、という2つの理由によるものです。
フラッシュマンへの思い入れ、衝撃の最終回
最終回が印象的だったと書きました。実はその数回前から、フラッシュマンの主人公たちは、育ったフラッシュ星を離れるとフラッシュ星以外の環境に適応できず弱っていく「反フラッシュ現象」に襲われます。故郷であるはずの地球から拒絶されながら、それでも地球のために、フラッシュ星へと戻るまでのタイムリミットと敵の2つとまさに死闘を続ける5人。テレビ画面での表示は覚えていないのですが、「あと◯日」というテロップが出ていたはずです。
また、5人のうち誰かの本当の親かもしれない時村博士一家も、タイムリミットのことを(確か)知らずに子供を探し続けます。
最終回、フラッシュマンがメスを倒すのとほぼ同時に、時村博士の子供が誰だったかがわかります。しかし、親子としての再会が果たされることはないまま、5人は地球を離れます。遠ざかる地球を窓越しに見つめ、泣きながら地球との別れを惜しむ5人。その後、彼らは体を回復させるために眠りながら、育ったフラッシュ星へと帰っていきます。そこにかぶさるナレーション。「ありがとう、フラッシュマン。さようなら、フラッシュマン」
えええええ!!!!!
こんな救いのない戦隊シリーズがあったでしょうか(後に鳥人戦隊ジェットマンの最終回が代表的な扱いになっています)。小学生だった私は大変衝撃を受けました。あれだけ地球を愛して戦った5人が、あれだけ反フラッシュ現象に苦しみながら戦った5人が、何も報われることなく地球を追い出される結末とは……! せめて親子として会うくらいしてもよかったのでは……!
しかし、最初から最後まで見続け、フラッシュマンの関連書籍を買い、途中あまりにも物語を愛した挙げ句、番組宛てに「フラッシュマンのような番組に役者かスタッフとして関わるにはどうすればよいのか」という問い合わせのハガキまで出した自分*1にとっては、非常に納得のいく結末でもありました。きっとフラッシュ星の科学の進歩により、反フラッシュ現象を乗り越え、5人はまた地球に戻ってこれる……!(ジンがそう言っていた)
あまりにもきれいに完結したお話によって、私の中のスーパー戦隊シリーズ熱は、いったんすっかり収まってしまいました。ドラゴンクエストIIIのエンディングで「TO BE CONTINUED TO DRAGON QUEST I」を見た瞬間のように。
スーパー戦隊シリーズとの再会
いったん視聴から離れてしまい、番組のメインターゲットからも外れた私は、その後長らくスーパー戦隊シリーズを見ることはありませんでした。トレンディドラマ全盛期に人気となったジェットマンも見ないまま終わりました。かろうじてまたちらほら見るようになったのは、社会人になって土日関係ない仕事に就いてからです。放送時間帯が夕方から日曜の朝に移動したため、日曜に仕事へ出かける前に流し見するという習慣が生まれました。
また、ひょんなことからバースデーソング主催のライブイベント「スーパー戦隊“魂”」(最後の「魂」はスピリッツと読みます)に足を運ぶようになりました。
最初は同系列のイベント「スーパーヒーロー魂」「スーパーロボット魂」なども見に行っていたのですが、やはり戦隊ものの方が圧倒的に懐かしく楽しいため(ロボットアニメやメタルヒーローにはあんまりなじみがなかった)、スーパー戦隊“魂”に狙いを定めるようになりました。今年も2days、行って歌って叫んできました!
もちろん見ていない戦隊、見ていても知らない挿入歌などもあるのですが、ライブの回数を重ねるとなんとなく覚えますし、合いの手も入れられるようになります。ささきいさおさんの歌うゴレンジャーのエンディングテーマ「見よ!! ゴレンジャー」などは、合いの手どころか観客がメロディーを歌い、ささきいさおさんがそれをバックにナレーションをするという楽しいイベントが発生します。
何より、歌や演奏が素晴らしいため、曲を知らなくても楽しめる。楽しいということは自然に歌手や演奏者に対して愛着が湧くようになります。その結果、ライブに臨むにあたって予習や復習をするようになり、CDを聞いて気持ちを高めたり、うろ覚えの部分を補強したりし始めます。見ていない戦隊でもライブを通して理解が深まります。
そして駄目押しとして、特撮を愛する鈴木美潮さん(読売新聞専門委員/日本特撮党党首)が主催するトークライブイベントに、不定期ながら出かけるようにもなりました。
鈴木美潮
日本特撮党 : 特集 : カルチャー : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
大の特撮好きとして有名な鈴木美潮さんは、特撮出演者、特撮ソングの歌手、スーツアクターなどをゲストに招くトークイベントを定期的に開催しています。「スーパー戦隊“魂”」で放送を見ていないながらもその歌声にしびれた、電磁戦隊メガレンジャーのオープニング・エンディングを歌う風雅なおとさんが、そのイベントのひとつ「歌祭46~風雅なおとの巻」(2016年6月)に出演するということを知って初めて見に行き、そこから通い始めてもう3回ほど。ゲストは持ち歌だけではなく来歴にこじつけた歌も披露するのですが、スーパー戦隊“魂”と同じく、知らない曲でも歌声の良さというのは伝わるのだなと毎回びっくりしています。
340 Presents「超新星30周年同窓祭」開催! ジンが、ダイが、ブンが、そしてサー・カウラーにレー・ネフェルが……
ある日大変偶然に、鈴木美潮さんのブログで以下のような記述を発見しました。
340 Presents「超新星30周年同窓祭」
シリーズ40作の節目の年に、30周年を迎えたこの方たち。共に戦った仲間はもちろん、かつては角突き合わせた敵とも、久しぶりに、地球に集まり同窓会です。
同窓会事務局には、「出席」のハガキが続々到着中です。想定外の同窓会になるかもしれません。【出演】垂水藤太、植村喜八郎、石渡康浩、萩原佐代子、中田譲治、ほか色々調整中。
30年の時を超えて | 340.340340.net
何度も何度も目にしてきたフラッシュマンの役者さんの名前がそこにはありました。萩原佐代子さんはダイナマンで主人公側のダイナピンクを演じていますが、私にとっては美しい敵、レー・ネフェル。その後「妖獣士ネフェルーラ」となり、リー・ケフレンを父と慕い、最後までフラッシュマンと戦い抜く人(豹?)です。「調整中」ということは、もしかしたら他の人も少し出てくれるのかも……という淡い期待が生まれました。
その結果がこれ!
もう美潮さんご本人による見どころたっぷりのレポートがあるので詳細は省きますが、ナレーションを担当した小野田英一さんが冒頭と最終回のナレーションを再現し、「そして、30年後」。レッドフラッシュ(ジン)役の垂水藤太さんが「超新星!」と言った後に全員で「フラッシュマン!」と名乗りをした後、既に芸能界を引退しているサラ役の中村容子さん、ルー役の吉田真弓さんがそろう。「プリズムフラッシュ!」の掛け声での変身ポーズ、そこにスーツアクターのうち4人(お一人は療養中)が出てきて決めポーズ。
なんかものすごいものを見ているぞ、これは美潮さんが起こした奇跡だぞ、と思いながらただただ舞台を見つめておりました。垂水さんの「超新星!」の重々しさが、ああ子供の頃憧れていたあのかっこいいリーダーの言葉なのだ、とやたらと感慨深く響きました。
フラッシュマン側だけではなく敵であるメス側もほぼ勢ぞろいし、リー・ケフレン役を演じた清水コウ治(コウは糸へんに宏)さんまでが舞台に上がり、最終話の再現台本でレッドフラッシュとの戦いを演じます。レッドのスーツアクター・新堀和男さんと萩原佐代子さんが加わって、実際には声も出せず固唾をのんで見守り、内心では「うおおおおお」と叫びまくっていました。
また、劇中音楽などを手掛けた田中公平さんが登場して弾き語りを披露されたのですが、当日は全くお名前を存じておらず、アニメ「ONE PIECE」の「ウィーアー!」を作った人だということを後にWikipediaで知りました。あんまりちゃんとは見ていないONE PIECEの中で本当にこの曲わくわくするな!と思ったのが「ウィーアー!」だったんですよね……。作曲者名も知らなかったというのに、好きな音楽というのは意外なところでつながるものなんだなと実感*2しました。
「超新星フラッシュマン」を愛し続けてきてよかった
スーパー戦隊シリーズを愛する方々の中には、きっと「マイベスト戦隊」があることでしょう。私は主題歌でいえばサンバルカンやチェンジマンが大好きで、歴代レッドの中ではバイオマンのレッドワンがほんの少しの差でトップです。それでも、音楽もストーリーも主人公も敵もすべてひっくるめて一番好きなのはフラッシュマンでした。
そのフラッシュマンが、悲しい最終回から30年を経て、1日だけでも地球で5人そろった姿を見せてくれた、というように私には映りました。そしてどこかに続いているであろうフラッシュマンの物語の中では、フラッシュ星に戻った5人が元気になって地球に帰ってきてくれるはずだ、という気持ちになれたのです。
紆余曲折を経てはいますが、小学生の頃の私の行き場のない気持ちを最終的に救ってくれたのは、鈴木美潮さんだったように思います。美潮さんのイベントはとにかく視点が濃く(視点が濃いという表現はないと思うのですが、高いでも深いでもなくとにかく濃い……)、一度行くといろいろな知識を吸収できます。さらに、メディアもジャンルも規模も違えど「編集」という視点から見ると、イベント運営や司会、ゲストとのつながり、構成の組み立て方、トークの進め方などが本当に勉強になります。そして何より、自分がお好きな分野を自分の「読売新聞」フィールドでも展開し、自分ならではのやり方で広げていっているのは、非常に素晴らしいことだと思っています。
まさか、小さい頃に何気なく見ていたはずのスーパー戦隊シリーズが、こんな形で今もなお身近に感じられるとは思ってもみませんでした。ニチアサで今放映している動物戦隊ジュウオウジャーもおそらく誰かがずっと愛していくのだと思います。子供だけでなく大人の心の支えになるスーパー戦隊シリーズ。ゴレンジャーから順々に主題歌を歌いながら家事に励むと進みが早く、いい気分で終えられます。なかなか毎週きちんと視聴することはできていませんが、歌やイベントを通して、これからも親しんでいきたいです。
*1:分野は全く違いますが、その後「テレビと関わる」というささやかな夢は叶うことになります。今思えば。
*2:全く別の文脈で好きだった「Popcorn」(電気グルーヴなどがカバー)と「Baroque Hoedown」(エレクトリカルパレードの原曲)に同一の作者が関わっていることをずいぶん後になってから知った。