ゲンロン戦記(東浩紀、中公新書ラクレ)

年始最初に買った本は前の記事の「イグアナの娘」ではなく「ゲンロン戦記」でした。批評家の東浩紀さんが株式会社ゲンロンを設立し、会社経営で悪戦苦闘する話……とまとめるのは大変失礼かもしれないのですが、まさに戦記でした。

私はあまりゲンロンやゲンロンカフェにご縁がないまま過ごしてきているのですが、インターネットとゲンロンのつながりは切り離せないものだと感じているので、大変興味深く読みました。面白かった。読み終えてみての最初の感想は「書類の管理や経理まわり、本当に大切なんだな……」ということでした。心の中では苦い思いと苦笑いを繰り返していた感じ。まえがきに、

ひとは40歳を過ぎても、なおかくも愚かで、まちがい続ける。
(p5)

とあり、まさに自分を省みても、会社経営こそはしていないけど社会人としては同じなのだなぁ、と思ったりもしました。しかし私はサラリーマン側なので、時折胃が痛くなるような描写も……。

会社経営の話につい目が行ってしまうのですが、コミュニティのあり方や観光と取材の関わり合いなど、いろいろと面白いポイントがたくさんあり、そちらは普通(普通とは)に東さんの思想などが垣間見えて楽しく(複雑ですね)読みました。