江國香織さんの著書連投。賛否がめちゃくちゃ分かれるであろう夫婦のお話だなーと思いながら読み、のちに1~5まで満遍なく☆がついたAmazonレビューを読んで「確かに」と納得した作品です。読み返す時々で受ける印象が違うのですが、「既婚者じゃないとわからないかもしれない」というAmazonレビューが腑に落ちました。その時の読む自分の立ち位置で、突然終わりが訪れるラストシーンの読後感が微妙に変わります。納得できる時もあれば「なんだこの不穏な終わり方は」と思う時もあり、それこそが著者の狙った通りなのかもしれないですが、もう少しだけ続きを読みたいなと感じるストーリーでした。
あんまりたくさん感想を書くとネタバレにならざるを得ないので少し抑えてどうしても気になった点を書きますと、「テディベア作家」という妻の肩書き、ここだけは本当に最初から今まで現実味がなくて、もちろん作家さんが現実にいるのは知っていますが、「時間とスケジュールがうまいことやりくりできる職業を他に思いつけなかったのではないか……?」と気になって気になってしかたがありません。「テディベア作家」でおとぎ話のような、ちょっと浮世離れした妻のバックグラウンドを演出しているんだと推測しているのですが、それにしても都合良すぎでは???と毎回読むたびに思っています。
それでも手元に残しているのは、ありそうでなさそうでやっぱりちょっとありそうな雰囲気のお話として、脇役がとても魅力的だからかもしれません。夫の妹と、妻の友人がとても好きです。「その後」が気になるのは主役夫婦ではなくてもしかしたら脇役なのかもな、とこれを書いていて考えつきました。