作曲家のキダ・タローさんが5月14日に亡くなられた。ご高齢なので大往生と呼ぶべきかもしれないが、寂しい。
キダ・タローさん死去 93歳「浪花のモーツァルト」CM、番組テーマソングなど“自称”5000曲作曲― スポニチ Sponichi Annex 芸能
Wikipediaをざっと眺めるだけで、「あれもキダ・タロー作曲か」「これもか」「こんなのもか」と、わらわら代表的な曲・CMソングが思い浮かぶと思う。
私が好きだったのは「プロポーズ大作戦」「2時のワイドショー」「アサヒペン」「小山ゆうえんち」「かに道楽」「出前一丁」「日本海みそ」「アホの坂田」「兵衛向陽閣」あたりか。近畿圏が主な活動範囲ではあったけれど、私が生まれ育った関東でも放送されているCMは数多くあった。
私が大阪に住んでいた2007年~2011年の間、育った文化も何もかもが違う地で、勝手に心の支えにしていた芸能人の方々がいる。キダ・タローさんはその中の一人である。「探偵!ナイトスクープ」(ABCテレビ)の「最高顧問」としての出演が代表的だった。
他に支えとなってくれた人は多い。「ちちんぷいぷい」(MBSテレビ、2021年に終了)は中でもとにかく大好きで、長く司会を務めた角淳一さんには本当に一方的にありがたい気持ちを抱き続けている。
大阪に移り住んだ2007年12月から再就職した2008年7月までの無職の時代、午後にぶち抜き4時間(3時間の時もあった)の情報番組を、本当に全く飽きずにテレビの前でじっと見ていることが多かった。社会的なつながりもなく、土地勘もなく、外に出れば迷子になるレベルだった私に大阪の情報を与えてくれたのは、紛れもなく「ちちんぷいぷい」であった。他に出演されていたMBSのアナウンサーの方々にも感謝している。
「ちちんぷいぷい」がきっかけで、お笑いコンビ・ロザン(宇治原史規さん・菅広文さん)を知ることにもなった。
「ロザンの道案内しよッ!」という火曜日のコーナーが特に好きで、JR大阪駅近辺からその周辺にあるホテルなどへの道を覚えるのにも役に立った。のちに大阪駅の桜橋口を通りかかった時に、ロザンがロケをしているのに出くわして、願えば会えるものなんだな……と奇妙な感慨に包まれたことを今でもはっきり覚えている。
2008年の暑い暑い夏、MBSが主催するイベント「オーサカキング」の火曜日、宇治原さんが三線を演奏するのを見に行った。それまで自主的に大阪の市街地へ出かけることが少なかった私にとっては、大冒険だった(夫がついてきてくれたけど)。
なんでも起用にこなす(がゆえにぞんざいに扱われがちな)宇治原さんが、さんざん苦労しながら三線を弾きこなすようになり、見事に生演奏をやりきったのを見て、心の底から感動した。うれしかった。
のちに宇治原さんは、その博学ぶりから、クイズ方面に進出。それまで膨大な知識量だけで戦っていたのが、京都大学のクイズ研究会でクイズへの解答の仕方などを学んでぐんぐん強くなり、今では「Qさま!!」の「プレッシャーSTUDY」での常連出演者となった。
関西では「使えないかしこ」として結構手荒に扱われる(コンビではツッコミなのに!)宇治原さん、関東の番組でもどうもその路線を踏襲され気味ではあるけれど、私の大阪時代を支えてくれた大恩人なので、今でもきちんと応援している。