たとえ編集者じゃなくても

太田明日香さんの出版レーベル「夜学舎」のニュースレターを購読しています。

ふと今日配信されたレターを読んで、どうしても今感想を書きたくて、仕事の休憩時間を使ってこれを書いています。

yagakusha.substack.com

この3年ほど袋小路にはまったような気持ちになっていましたが、豊島さんの存在を知ったことで、ものすごく希望を持てました。 それは私がまた何かで一発逆転できる希望じゃなくて、書かなくたっていいんだという希望でした。

太田さんが編集の仕事を辞めた話を、元小説家の豊島ミホさんのお話を絡めて書いていらっしゃる内容です。

私の今のメイン業務は、「編集」ではありません。「編集支援業務」「業務推進」みたいな名前がついています。2年くらい前からそのポジションにいます。先日PMO(Project Management Office)という言葉を知ったので、そういうふうになれたらいいなと思うのですが、まだそこまでは至っていない、なんというか、ちょっとふわふわした立ち位置です。企画・編集業務に付随するさまざまなことをやったり、巻き取って進めたりする役割です。「編集」から完全に離れていないけど、広義の「著者さま」から預かった原稿を実際に直接編集する業務は1割以下程度でしょうか。

前の前の弊社CTOに14年前くらいに言われた「編集は天職だね」という言葉が、編集者をやるにあたって、長いこと私の支えになってきました。それは同時に、今の「編集ではない」業務をするにあたって、「編集者ではない自分」の存在がしんどいな、と感じることが増えてきているということでもありました。

たまに編集仕事をやると、ものすごく楽しくて、「人が伝えたいと思うことを整理して世の中に出す」という編集業のプリミティブな喜びがめちゃくちゃに大発生しました。でも自分が一番、自分で「今のフィールドで編集をやっていくには欠けている部分がある」ということを知っていました。そして今の仕事が自分の適性に合っていることもわかっています。欠点は裏返しで長所でもあるからです。

そういう気分でいる時に、太田さんの希望の話と、1つ前のレター「それでも作家って言うなら」を読んで、ああなんだか同じような気持ちを抱いている人がいる、ということに安心したのでした。

open.substack.com

それでもただ書きたいという欲求だけがある。

よく書いてる間だけが作家だと言う。そんなのきれいごとだと思っていた。けど、ライターでも編集者でもなくなって書くことでほとんどお金をもらうことがなくなった私が、書く人つまり作家であるって証明するなら、書くことしか方法がない気もする。

今年に入ってブログをちゃんと書くようにしようと思ったのも、この話とよく似ています。私は作家であったことはないけれど、インターネット業界に身を置くようになる前から、Webに何かを書き付ける人でありたいと願っているし、今もそれは変わらない。だから、ちゃんと自分の名前を使って、自分のブログを書いていこう、そう思っているのでした。

(完全に離れたわけではないけど)編集者ではない今でも、情報を集めて編んで世の中に出すことはできます。編集でお金をもらうわけではなくても、世に情報を出したい人のお手伝いはできるし、実際にやれているし、今のメイン業務だって広義にはそうなのだから、編集していくしかないのだなと感じました*1

*1:でも「世の中を編集する」みたいな言い方はあまり好きじゃない。それは編集とは言えない気がする。