- 作者: 新谷学
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/03/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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立ち読みでぱらぱらっとして面白かったので即買いし、物理でも電子でも数ある読みかけ+積ん読本を差し置いて一気に読み切った本です。新卒でテレビ局の子会社に入ってからはてなで編集の仕事をやるまでに教わったことがかなりまとまった形で書いてあって、言語化するのが苦手な自分としては教科書のように思える内容でした。とはいえ私は週刊誌には関わったことはないですし、現在携わっているメディアの特性とも大きく違います。それでもリーダーシップやマネジメント、メディアに関わる考え方などにはやはり共通するものが多く、また個人的に「人間対人間の対面のコミュニケーションを継続すること」が不得手な自分にとって、それはやはり克服すべき壁なのである、と強く感じました。
また、「おわりに(p254)」の中で、最近自分が考えていることと近しいことが書いてありました。
そもそも文藝春秋に限らず、「編集者、記者は黒子であれ」というのが、出版会の不文律だ。目立たず騒がず、あくまでも作品なり、記事で評価されるべきであり、作り手側が前面に出ることをよしとしない。
だが、時代は変わった。情報の送り手と受け手の力関係は激変し、あらゆる情報が玉石混淆となってネット上に飛び交うようになった。匿名のまま木で鼻をくくったような対応ばかりしていては、情報の信憑性は十分には伝わらない。送り手の「顔」が見えづらいと、情報は説得力を持ち得ないのだ。
昔も今も、「編集マン/編集者」は前に出るのは己の美学に反するという気持ちは変わっていません。しかし、「中の人はこういう考えをしている」ということも、視聴者や読者にとっては有用なケースが増えてきているというのはここ数年の流れを見ているとさすがにわかってきます。あくまでも主役は読者であり、取材対象者であり、筆者である、という考えは変わりませんが、新谷学さんのようにいろいろな文脈や潮流を取り入れて柔軟でいるべきであるとあらためて思いました。
この本の版元がダイヤモンド社である、というのがなんだか面白いですね。