Googleリーダーなき後の情報収集術――お気に入り「500」が持つパワー

こんにちは。はてなで編集などをしている万井と申します。この記事は「編集とライティングにまつわるアレコレ Advent Calendar 2017」の12月14日分です。

adventar.org

このアドベントカレンダーを企画した&初日を飾ったモーリさんをはじめ、IT・技術畑の編集者・ライター・出版に関わる方々が既にこの日までにいろいろ書いてくださっているので、自分はいったい何を書けば……と昨日まで悩みまくっていました。皆さんとあまりかぶらないような話題を、ということで、自分の普段の情報収集方法を公開しつつ、最終的には「はてなブックマークはこう使うと楽しいよ!」というお話もできればと思います。

2013年7月まではRSSリーダー大好きっ子だった

もう4年も前の出来事なんですね。Googleが提供していたRSSリーダーGoogleリーダー」が、2013年7月にサービス提供を終了しました。

私がWeb業界に足を突っ込んだ2006年、なるべく広範囲の情報を広く収集する必要がある業務に就いたため、いろいろなWebサービスを試してみていました。そのときに一番なじんだのがBloglinesというRSSリーダーです。主要ニュースサイト、「Yahoo!新着情報」(提供終了)、「関心空間」(提供終了)のRSSフィードRSSリーダーに突っ込んで片っ端から目を通すのが手っ取り早いと感じていました。まだ今ほどWeb上にコンテンツが多くない時期です。ブラウザ「Sleipnir」のRSSプラグインも結構好きでした。Bloglinesを愛用していましたが、ある日マルチバイトの文字全てが文字化けするという不具合が発生し、泣く泣くGoogleリーダーに移行して、それ以来終了までずっと使っていました。

Googleリーダーが終了すると報じられた際に、「もうRSSを使ってまで情報収集する人なんていないんだよ」という話をあちこちで見かけたものですが、2006年当時も「RSSリーダーを使う人はごく一部で、一般の人はたぶん使わないし使いこなせない、しかし便利だ」という話を同僚とよくしていました。もちろんスマートフォンや通信網の普及という時代背景の違いはあるものの、普段の情報収集の手段としては広まらないという予測が結果として当たってしまいました。

Googleリーダー、とにかくスクロールしていけばいいっていうUIが本当に好きだったんです。「良い情報を流す人だ」と思ったTwitterユーザーのRSSフィードを登録しておけば*1、他のニュースソースとまとめて読み込めたのもとても便利だった……。

他のRSSリーダーを試しつつも、なんとなくRSSリーダーから離れてしまった後は、Twitterでリストをいくつか作り、用途に応じて見分け、必要があればメンテナンスすることで、ある程度はカバーできるようになりました。Facebookではフレンドの方が流してくれるURLの中に自分ではつかまえられないような情報があったりもするので、ざっくりと見ています。Instagramも含め、最近は「サービス側のアルゴリズムで表示内容をチューニングする」という手法がメインなので、時系列をこよなく愛する自分としてはややもどかしいことも多くあります。「誰が、どのタイミングで(どの媒体で)、何を言ったか」から導き出されるものが見えてこないからです。こればかりはよい解決策が思いつけていません。

突然ですが、はてなブックマークのお気に入りはすごいぞ

TwitterFacebookよりも私にとって手放せないのが、はてなブックマークの「お気に入り」機能です。ユーザーをお気に入りに入れる(フォローする)ことで、お気に入りページに、そのユーザーがブックマークした記事がまとめて表示されるというものです。

自分がはてなスタッフだから自社サービスを特別に推すというわけでは全くありません。私は2008年の入社前、具体的には2005年2月から、この機能を気に入ってずっと使い倒してきました。別のアカウント*2で、お気に入りユーザーを500人*3登録し、移動時間や自宅でごろごろしているときなどに割と頻繁に見ています。

はてなへのログイン状態でお気に入りが500人いると、はてなブックマークのトップページがこんなふうに見えます。

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もう何年もこの状態なので、すっかり慣れてしまい、ふと自分の画面を会話のついでに見た同僚が何人か「これはすごい」「(小さいものがいくつも並んだ状態について)ちょっと気持ち悪い」と言うのでびっくりしました。

今のちょっとした悩みは、新しく入社したスタッフをすぐにお気に入りに入れられないこと。500人の中から、休眠されていたり、しばらくアクティブではなかったりするユーザーを探して外さなければなりません。

お気に入り500人のパワーとは何か

500人のパワー、それは「数は正義」です。

もともと自分がお気に入りだから「お気に入りに登録」するので、お気に入りページを眺めていると、500人のうち誰かが見つけてくれた面白いものがどんどん出てくるという状態です。もちろんその500人は自分ではないので、自分にはない視点・観点の情報も出てきます。その情報からさらに別の情報につながっていくこともたくさんあります。

もちろん流量は多いのですが、電車に乗っていて特に見るもの・読むものがなければお気に入りを眺めるので、案外取りこぼしはありません。だいたい興味のあるものが登場してきますから、飽きることもありません。ユーザーさんによってはある時間帯にまとまったタイミングで大量にブックマークが流れてくることもありますが、そこはお互い様なのであまり気になりません。自分が自分のために鍛え抜いた情報源は、強い。

Web以外では?(だいぶざっくり)

Web業界の前はテレビの報道分野に携わっていたため、業務として新聞各紙やニュース番組(いわゆるストレートニュース)に目を通す機会が多く、自然と時事に強くなれる環境でした。各紙の見出しの付け方、冒頭の一文の書き方、それぞれの手癖のようなものもわかりました。

【お願い】「テレビ業界からWeb編集者へ」というキャリアを歩んだ方をあまり見かけないので、もしいらしたらぜひお話ししたいです!【お願いここまで】

さすがに今は全紙眺めるのは難しいのですが、もともとテレビっ子でニュース番組を見るのが習慣でもあったので、テレビを見たり、逆にTwitterのタイムラインから観測範囲で話題になっている番組を知ってチャンネルを合わせたり*4、夫が競馬の予想のために買ってくるタブロイド紙でゴシップ的な話題をざっとつかんだり、本屋さんの雑誌コーナーで表紙を眺めたり(そしてうっかりほいほい買って部屋の中が大変なことに)、平積みの本を流し見したり。電車で雑誌の中吊り広告の細かい字をすみずみまで読んでみたり……などは無意識のうちにやっています。

そうしてふと気になったものは、とりあえずすぐにスマホで検索して、記憶のとっかかりになりそうなURLを見つけてブックマークしておきます。

おわりに

ぜひ皆さまも「お気に入り500人の世界」に足を踏み入れてみてください! 企画を立てる際のネタ探し、着想のヒントとしても非常に役立っています。

*1:現在は、公式でのRSSフィードの提供は終了しています

*2:はてなでは、メインアカウント以外にサブアカウントを4個まで取得できます

*3:お気に入りに登録できるユーザー数の上限

*4:チャンネルを回す、合わせる、って死語になりましたね……