雑学に親しんでいると、割と編集者としての仕事がしやすい気がする

この記事は、ライティングや編集にまつわるあれこれ Advent Calendar 2018の21日目の記事です。まだ空席が少しあるので今からでもご参加ください!

何を書こうかなーと昨日まで迷っていて、よしこれで行こう、と思ったら近藤佑子さんと少しかぶる内容になってしまいました(予告)。

kondoyuko.hatenablog.com

雑学が好き

小さい頃からクイズ番組が大好きで、以下のようなクイズ番組をかなり好んで見ていました。

クイズ100人に聞きました」や「クイズダービー」、「連想ゲーム」なども好きでしたが、こちらはちょっと違う切り口だったため、雑学を得るという感触はありませんでした。「100人に聞きました」だったら多数が好みそうなものと少しニッチなものを探り当てる(今でいう帰れま10みたいな感じ)、「クイズダービー」はジャンルによって強い人弱い人に「賭ける」という変数(篠沢秀夫教授ならこの問題いけるだろう、とか)、「連想ゲーム」は文字通り言葉の連想の楽しさという感じでしょうか。広辞苑を使った番組「たほいや」も好きでしたが、クイズじゃなくてゲームですね。森雪之丞さんの言葉使いの巧みさ大好きでした。

昔はいつかアタック25に出場するぞと思っていたものですが、最近の30代大会や40代大会を見ていると、自分はエンタメ系の知識がかなり弱い……というよりはほとんどないので、いわゆる「王道のクイズ問題の解き方」だけでは全然通用しないですね。50代大会に参加できるまで番組続いてほしい……。

こうして体系立っていない、けれど面白い知識を無意識に浴びることで、断片的ながら「知識を得るとっかかり」が脳内に残るようになりました。「ポロロッカ」なんてその最たるものですね。

能勢 西村さんが『史上最強のクイズ王』で見せた伝説の場面があるんです。出題者が「アマゾン川で」まで読みあげたたった0.9秒で「ポロロッカ」と答えた神業的早押し。「アマゾン川で起きる現象で、潮の干満によって引き起こされる逆流現象を何というか?」という問題ですが、西村さんは「アマゾン川で」の「で」で「ポロロッカ」という答えであることを瞬時に判断しているんです。「アマゾン川が」だと、傾向としては違う答えを求める問題になるんです。英語だと最初にWhoとかWhereがきてしまうので、何を聞くのかわかってしまうけれど、日本語だと情報が小出しになるので「で」なのか「が」なのかで判断が問われるんです。

(2ページ目)最近のクイズ番組から失われたもの クイズ王・能勢一幸が語った未来 | クイズです | 文春オンライン

クイズ番組が好きだったことで、前々職でたまたま「クイズ$ミリオネア」に出演した当時の社長のテレフォンブレーンに選ばれるということも起きました。今放送日を確認したら2004年12月30日。もうあれから14年……? 何か計算を間違えているのでは……? と思ってさらに今指を折って計算しましたが本当に2004年の年末でした。ちょうど私がWeb・IT業界に足を踏み入れた年でもあったということがわかりました。

それはともかく、「知識を得るとっかかり」を幼少期にクイズの解答とクイズの設問から得たことは、その後不思議な巡り合わせで「IT業界」「編集者・ライター」という属性になった私にとっては大変幸運でした。

雑学に近しい本やマンガが好き

「雑学に近い」ではなく「近しい」としています。私はそれらから雑学を得た!と思っているのですが、実際には雑学をテーマとしているわけではないからです……。

銀のロマンティック…わはは (花とゆめCOMICS)

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孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

小型聖書 - 新共同訳

小型聖書 - 新共同訳

(たぶん私が目にした聖書はこの版ではないと思うんですが、便宜上)

ちょっと前に伊藤ガビンさんのこの記事にブックマークが集まっていまして、「タイトルから内容想像し難い問題」と書いてあり、本当にその通りだなと思いました。

『動物のお医者さん』読まれてないんじゃないか疑惑について – マンバ通信

動物のお医者さん」を読んでいたおかげで、豚コレラが発生したというニュースがあった時に、「豚コレラといえば家畜の法定伝染病じゃないか!これは大変」とすぐわかったのです。しかし今だと少し内容や定義が変わっているようですね。

豚コレラ「防疫の根幹揺らぐ」 農相、県の不備非難 | 岐阜新聞Web

ぎゅうぎゅうの口の感の狂った短気のデブがけつようぴに
遊びにでんとアフリカのスーダンにこられペットにヒナをもらった

ちまぎょろ獣医日記&べにっき:法定伝染病の謎

動物のお医者さん」だけでルーツを調べて言語化するのに時間がかかったので、あとは大変勝手ながら割愛します。

(結論を急ぎます)雑学に親しんでいると、割と編集者・ライターとしての仕事がしやすい気がする

もう少し書こうかなと思った内容があったのですが、この調子だと日付が変わってしまうので慌てて結論に移ります。やはり勢いで書くのはだめですね。ブログなので許してください……。

私の場合、上記の他に「ニュース番組に近いところで仕事をしていたので時事をざっとつかむスキルができた」「なんとなく地図が好き」「なんとなく鉄道が好き」「なんとなくスポーツ観戦が好き(ただしあんまり痛そうじゃないやつ)」「なんとなく技術やエンジニアリングが好き」という志向があるため、いろいろな方にお話を伺う際に質問がしやすいような気がしています。

「知識を得るとっかかり」が分かるために下調べはもともと好きですし、下調べの結果「やっぱり聞かないとまったくわからん」という気持ちで素直に取材などに臨めることが多くあります。あまりにわからなすぎるとそれはとても失礼なのである程度前提となる話を頭に入れてから「聞かないとわからない」という立場になるのですが、クライアントやインタビュイーからぴょこっと飛び出してきた言葉について「何か聞いたことある、そういえば8年前くらいに会社にいたエンジニアが言ってたワードだったような気がするからもう1回聞いてみよう」などの応用が効くことも。

以下の生湯葉シホさんの記事にあるお話と同様に、私も「コミュニケーションが得意」とまでは言い切れないのですが、“知識を得たいスイッチ”が入ると、「わー面白い」とはしゃいでしまってめちゃめちゃたくさん話を聞きたくなります(これはこれでよくない)。

取材が終わってから、横で私のインタビューを見ていた先輩に怒られないかだけが気がかりだった。しかし、訪問先のオフィスを出た瞬間、先輩が最初に口に出した言葉は「いやー、めちゃめちゃ面白かったですね」。彼はそれきりなにも言わず、こちらも見ずに最寄り駅までの乗り換えをスマホで調べ始めた。


取材に対する苦言どころか、取材そのものに対してなにも言われなかったことに驚いて、「いまの取材の仕方で直した方がいいところってありますか」と自分で聞いてしまった。すると先輩は、「うーん、ちょっと相手に遠慮し過ぎてるところはあったかもしれませんね」とつぶやいたあと、「取材なんてものは絶対に相手の方が賢くて面白いって分かってるんだから、こっちはただ相手の話に興味を持って『どうして? 教えて!』って子どもみたいな姿勢でいりゃあいいんですよ」と笑った。

「100点満点のコミュニケーション」を目指していた私へ|文・生湯葉シホ - はたらく女性の深呼吸マガジン「りっすん」

写真撮影を担当する場合でも、「この人はこんなに面白いし楽しい話をしてくださるのだから、それをうまく写真で伝えたい」という気持ちが生まれやすいのと、プロのカメラマンさんとお仕事をご一緒する際に「自分はこうやって撮ってるけど本職はこうなのかー!さすが!」と勝手に感心しているのとで、雑多にいろいろなものを吸収していると、他のものもわかりたくなる素地はできるかもなあ、と思っています。さすがに年齢とともに基礎体力は落ちるし「えーとあれなんだっけ」と言う回数が増えているので、昔ほどテレビのクイズ番組に正答できなくなっているのですが……。


明日はbeajourneymanさんの「技術書典5」に関するお話です! 技術書典、まだ1回も行けていないので行きたい!!!!