「女性で、IT(主にインターネット関連)業界で働いている、50代以上の人」という存在をあまり見ない。
ITとひとくちに言ってもかなり広いので、メーカーや通信業界だったらたぶん普通にいる存在なのだろうと思う。それでもあまり見かけない。そもそもIT関連の業界の歴史が比較的新しいからかもしれないが、それにしても見ない。
どこにいるのだろう。いないというわけではないと思うが、可視化されていないように感じる。
会ってお話を聞いてみたい。できれば普通の人だといいけど、50代となるとだいたい役職がついていたりするものなんだろうか。でも全員が全員役職につくわけでもなかろう、組織がピラミッド状だったり、IT業界のように比較的フラットだったりしたら。
私がぱっと思いつく「IT業界で定年退職を迎えた人」は、元楽天の吉岡弘隆さんだ。その後東京大学の大学院に進んでいる。比較しようがないが、ありようとしては参考にしても……いいんじゃないかな……と思っている。
今Google検索してみたら研究室のページがあった。アカデミアの世界ではこういったページは全く珍しくないが、あらためて読んでみると、なんだかすごい。
吉岡さんの定年退職の記事の方を、49歳になりかかっている今読み返すと、以下の部分が非常に腑に落ちるというか、「わかる」という感じになる。
プログラマとして一生やって行くのだと若い頃の自分は鼻息を荒く言ったものだが、そうでも言わないことには会社員として生きて行くのが生きづらいと感じていたのかもしれない。
まさか自分が定年になるとは思ってもいなかったし、その時の自分を想像することもできていなかった。
この何年か、あるいは直近の数ヶ月、60歳になったらどうするか、どうしても自分ごととして考えることが難しかった。プログラマ定年説というのがどのような意味を持つのか持たないのか、よくわかっていない。今だにわかっていない。
「どうしても自分ごととして考えるのが難しい」という気持ちが本当によくわかる。社会人になって四半世紀、IT業界に入って20年、目の前のことを必死にやってきたつもりだったが、どうもその先が霞んでいるというか、靄がかかっているというか、うまく「その先」のことを予測したり想像したりするのに大変な労力を要するのだ。
ロールモデルが欲しい……というと、「ロールモデルを求めるのは間違っている、自分で人生を切り開くものだ」という言説を見たり聞いたりするけれど、結構「ロールモデル不在問題」は根深いと思っている。
私の中で「日経ウーマン問題」と勝手に名付けている話題がある。Webだと以下のサイトがわかりやすい。
日経xwomanには一時期課金をしてさまざまな記事を読んできたが、クレジットカードの期限が切れたのを機にやめてしまった(気が向いたらまた読もうと思うくらいに有用だと思っている)。いろいろなタイプの女性が登場して、勉強にはなるのだけど、どうしても「キラキラしている……」「私には難しすぎる……」という気分になってしまうのだ。日経ウーマンさんには全く関係のないところで。
人生、そもそもなかなか先が読めないしわかりづらいものだし、想定したところで思いもつかない方向に行きがちだけど、漠然と「五里霧中とはこのことか」という気持ちになる時期が訪れるとは思っていなかった。霞とか靄とか霧とか、あめかんむりの漢字ばかり並べてしまうことになって、先のことを考えるとまさに「気が晴れない」という気分。
落ち込みやメンタルのダウンとはまたちょっと違う。「お悩み」とも違う。強いて言えば人生相談? でも「相談」して「解決」すべきこととも思えない。たぶん気の持ちようについて、似た境遇の人と、ちょっとだけわかり合いたいのだろうと思っている。
最近では、佐佐木由美子さんという社会保険労務士の方が執筆された記事によく目を通すようになった。著書である『1日1分読むだけで身につく 定年前後の働き方大全100』(自由国民社)はまだ買っていないが、たぶんそのうち買って読むと思う。